このたび、その椅子がポルトガルに渡り、マトジーニョスのカーザ・ダ・アルキテクチュラ(Casa da Arquitectura)でお披露目されました。
この作品は、2025年10月4日から2026年3月8日まで開催される展覧会「Kengo Kuma: Onomatopeia」の一部として展示されています。世界的に高く評価される隈研吾の創造的な世界を紹介する展示です。
「5008 OSAKA」は、20世紀前半に誕生し、アディコを象徴する名作「ポルトガルチェア(5008)」を現代的に再解釈したものです。オリジナルのデザインの本質を保ちながら、隈研吾のミニマリズムの感性によって新たな魅力が加えられています。

人間的で調和的な建築アプローチで知られる隈研吾は、この椅子を最小限の構造まで削ぎ落とし、視覚的な軽やかさを実現しながらも、ポルトガルデザイン特有の堅牢さを失うことはありませんでした。
アディコによって金属のみで製作されたこの椅子は、隈研吾自身が「風景と一体化し、光と影、そして色を映し出す存在」と表現しています。
そのシンプルさと透明性は、日本の「自然との調和」を追求する精神を体現し、一方でその確かさと精度は、ポルトガルの「耐久性と真の職人技」を想起させます。
この椅子は、ポルトガル館のテラスを彩るだけでなく、素材・技術・本質の美に対する両国の共通した敬意を象徴するものです。
それは、ポルトガル館のテーマ「海 ― 青の対話(Ocean, the Blue Dialogue)」を体現するメタファーでもあります。

カーザ・ダ・アルキテクチュラ(ポルトガル建築センター)では、2026年3月8日まで隈研吾展「Kengo Kuma: Onomatopeia」を開催中です。本展は、隈研吾建築都市設計事務所との共同企画であり、五感を通じて文化と大陸を超える没入型の体験を提供します。
併設プログラムでは、ガイドツアー、ワークショップ、パフォーマンス、コンサート、伝統儀式などを通じて日本文化の多様な表現に触れることができ、建築・芸術・儀式の融合を促進します。